July 14-17, 2014,
Location: Karlsruhe, Germany
Consultancy Meeting on Knowledge
Management Issues in Decommissioning,
Waste Management and Remediation of
Nuclear Facilities


1.会議の概要
 IAEAの主催で、原子力施設の廃止措置等の知識マネジメントに関し、加盟国が直面している課題を明らかにするため、本会合を開催。日本に対しては、国内の知識マネジメントに関する取り組み、福島第一発電所の状況について報告することが要請された。このため、デコミッショニング研究会所属の4名が参画し、それぞれの立場で日本の取り組み状況を説明するとともに、IAEAの取り組み方針に関する議論に参加した。
2.出席者
 IAEA5名、OECD/NEA 1名、ドイツの大学、設計会社など7名、ロシアの民間会社2名、フランスの大学1名、イタリア元IAEA1名、スロバキアの大学1名、ノルウェーの研究機関1名、米国の設計会社1名 、日本4名(研究機関、大学、メーカー、ゼネコン)合計24名が参加した。会場はKIT:カールスルーエ工科大学。

3.日本からの報告
 日本の原子力発電所の廃止措置状況について説明し、この遂行には、システム的アプローチとプロジェクト管理が重要であり、知見や経験を継承する必要があることを説明した。
 また、福島第一の廃止措置の状況(汚染水の処理や解体方法)についても説明を行い、知識マネジメントについて、通常の廃止措置とは異なる対応をする必要があることについて説明し、参加者の理解を得た。
 さらに、「ふげん」についても、廃止措置計画及び実施状況の概要、廃止措置知識マネジメントの課題等の課題について報告した。
4.グループ討議の概要
 廃止措置、廃棄物管理、環境修復の知識マネジメントに関連する、技術的な課題として、知識伝達(Knowledge Transfer)、人材育成(Education)、知識マネジメントの戦略(Knowledge Management Strategy)、情報システム(Information System) 、先進技術(Advanced Technology)の5つのグループにおいて、それぞれの課題を検討した。その結果、廃止措置等に関する知識マネジメントの技術的な状況や問題点を摘出でき、IAEAとして実施すべき項目などを提案した。
5.まとめ会議
 上記のグループ討議の結果が報告され、全体のディスカッションが行われた。
 この結果、最終的に、IAEAとして今後、戦略的に高度な文書と技術的、実際的な下位文書をまとめていくこととされた。
 なお、福島のような事故後の廃止措置については、知識マネジメントは通常の廃止措置の場合と異なることを日本から再度述べ、多様なケースを考えるべきことについて合意が得られた。
6.参加の所感
 今回の会議で各国の廃止措置の知識マネジメントの取り組みが把握でき、基本的に日本で検討していることと齟齬はなかった。今後のIAEAの活動にも積極的に参画し、成果を発信していきたい。



・IAEA会議終了後、旧知のWAK関係者を訪問、下記施設を視察した。
・廃止措置施設の視察
 現在のKIT(カールスルーエ工科大学)は2009年10月にカールスルーエ研究センター(かつては原子力研究所)とカールスルーエ大学が合併して発足したもの。旧研究所の原子力施設は基本的に全て廃止措置となり、切り離されて、WAK廃止措置廃棄物管理有限会社として廃止措置を実施している。なお、親会社はグライフスバルトの廃止措置を行っているEWNであるが基本的に資金は連邦政府と州政府から受けている。
 今回はWAK:再処理パイロットプラント(処理実績約210トン)、KNK:高速実験炉(熱出力58MW, 電気出力20MW) 、MZFR:多目的研究炉(重水炉, 電気出力57MW)の3施設を訪問し、それぞれ説明を受けた後、解体等を実施している現場を見学した。

デコミッショニングとは

デコミッショニング(廃止措置)とは、法的には、役割を終えた原子力施設からそこに課せられている安全規制を解除することを言います。技術的には、施設から放射能を除去し、機器設備や建物の解体撤去、放射性廃棄物の安全な処理・処分等により、施設又は土地を再利用できるようにすることを指します。

「デコミハンドブック日本語版」

デコミッショニングハンドブック日本語版

米国機械学会(ASME)発行による”The Decommissioning Handbook"2004の日本語版。研究活動の一環として全文を訳出し、出版しました。

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